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ピルってどんな薬?ピルの種類と効果の違いと副作用を徹底解説

ピルってどんな薬?ピルの種類と効果の違いと副作用を徹底解説

ピルを飲んで避妊をしたい、避妊効果以外にも生理不順やPMSが改善されると聞いたので利用してみたい。

けれど、ピルの種類もわからなければ、「ピルを飲むと太る」「うつになる」「血栓症や乳がんになる」「妊娠しづらくなる」という噂もあって、副作用がすごく怖い…。

ピルのことを知りたい方のために、ピルの基本的な知識を解説します。

当記事では、代表的なピルの種類5つとその違い、ピルの避妊効果やPMSなどの効果、また副作用や病気のリスクを理解できます。

ピルを飲むと自分の体はどう変化するのか正しく理解し、安全に生活の質を向上させていきましょう。

ピルとは排卵や月経周期を調整する女性ホルモン剤

ピルとは

ピルとは、毎月繰り返される排卵と月経の周期をコントロールする女性ホルモン合成剤で、一般的には経口避妊薬(Oral Contraceptives: OC)を指します。

ピルには避妊以外にも、生理痛やPMS(月経前症候群)の緩和、生理不順、ニキビや肌荒れなどの改善効果があり、生理の辛さを和らげることが可能です。

また経口避妊薬としてのピルの他、月経困難症や子宮内膜症の治療に向いた超低用量ピル(LEP)や生理日をコントロールする中用量ピル(月経移動ピル)、性交渉後に服用するアフターピル(緊急避妊薬)、ミニピル(黄体ホルモン剤)などの種類があります。

ピルの写真
ピルの普及率
ピルは1960年代にアメリカで開発されて以降、欧米の先進国を中心に広く普及してきました。
欧米では2019年時点で、約15~30%(3~6人に1人)がピルを利用しているというデータがあります。
対して、同時期の日本では3%未満(34人に1人)の普及率と、世界のなかではピル後進国と呼ばれています。

データ参照元:国連経済社会局(Department of Economic and Social Affairs: DESA)

欧米では薬局で手軽にピルを購入できますが、日本では医師の診察が必要なため、普及率に大きな差があります。

現在、日本では一部の薬局でアフターピルの試験販売がされているものの、厚生労働省の承認や市販化にはまだまだ時間がかかります。

ピルは医師の診療・診察を受けて安全に入手すること

ピルには副作用や血栓症などのリスクがともないます。

医師の診療を受けずに個人輸入品を購入したり、知人から譲り受けたりなど、知識のないままピルを服用するのは大変危険です。

ピルの避妊とそれ以外の効果を知るのと同時に、必ず体への影響を理解したうえで服用しましょう。

代表的な5種類のピルの使用目的と違い

主なピルの種類

代表的なピルの種類は5つあり、使用用途が避妊目的なのか、月経困難症等の治療目的なのかによって、ホルモンの含有量や薬の種類が異なります。

基本的にピルはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)が主成分で、1錠あたりに含むエストロゲン量によって、高用量・中用量・低用量・超低用量ピルと分類されます。

※高用量ピルは副作用のリスクが高く現在の主流ではないため、当サイトでは掲載を省いています。

種類別ピルのホルモン含有量などの比較

エストロゲンの含有量が少ないほど、副作用や血栓症のリスクを抑えながら避妊でき、近年では低用量ピルの使用が主流です。

ピルの使用目的や服用方法、エストロゲン含有量の違い、服用後の生理の状態、主軸の薬名をまとめました。

各ピルの使用目的と種類ごとの違い
低用量ピル 超低用量ピル 中用量ピル アフターピル ミニピル
目的 避妊 生理痛やPMSの緩和
月経困難症・子宮内膜症の治療
生理日の移動
※一部、緊急避妊薬としての使用(ヤッペ法)
緊急避妊 40歳以上やBMI30以上の方、喫煙者などの避妊や月経緩和
避妊効果
※避妊目的の処方は不可

※避妊目的の使用は避ける

※避妊薬としては国内未承認
服用方法 毎日1錠ずつ服用する(21錠タイプは7日間休薬する) 毎日1錠ずつ服用する(21錠タイプは7日間休薬する) 移動したい生理日に合わせて数日間1錠ずつ服用する 避妊に失敗した性交渉後に1錠服用する 毎日1錠ずつ服用する(休薬期間なし)
ピル服用中の生理 服用中に生理はこないが、7日間の休薬期間に生理がくる 服用中に生理はこないが、7日間の休薬期間に生理がくる 服用中は生理がこない 服用後、通常よりも早く生理がくる 服用中は生理がこない
1錠あたりのエストロゲン含有量 50μg未満(30~40μg程度が多い) 20μg程度 50μg程度 エストロゲンを含まないピルが多い エストロゲンは含まない
代表的な薬名 ・シンフェーズ
・アンジュ
・トリキュラー
・ラベルフィーユ
・マーベロン
・ファボワール
・ルナベルULD
・フリウェルULD
・ヤーズ
・ドロエチ
・ヤーズフレックス
・ジェミーナ
・ダイアン
・プラノバール ・ノルレボ
・ノボノルゲストレル
・エラ
・ノリディ
・マイクロノア
・マイクロバル
・ノルゲストン
・セラゼッタ
・ディナゲスト
保険適用 なし あり
※オンライン診療は適用不可が多い
なし なし なし

ピルの種類の選び方は避妊目的かそれ以外か

これからピルの服用を考えている方は、まず服用する目的が避妊なのかを判断しましょう。

基本の選択肢は以下4つです。

目的別ピルの選び方

  • 性交渉に備えて避妊したい → 低用量ピル
  • 苦痛を緩和させたい、治療を考えている → 超低用量ピル
  • 性交渉後に緊急避妊したい → アフターピル
  • 生理日を移動させたい → 中用量ピル

低用量ピル(OC)

低用量ピル(OC)の写真

低用量経口避妊薬
Oral Contraceptives:OC

低用量ピルは、エストロゲンとプロゲステロン2種類の女性ホルモンを含有した経口避妊薬です。

エストロゲン含有量を30~35μg(マイクログラム)と少ないため、副作用や血栓症のリスクを抑えながら避妊できる薬です。

低用量ピルの種類は多数あり、21錠タイプまたは28錠タイプ、より価格を抑えたジェネリック医薬品があります。

避妊目的としての処方のみが厚生労働省から認可されており、生理痛やPMS、生理不順改善などの副次的効果を目的とする処方は行えません。

低用量ピルの薬ごとの価格や超低用量ピルとの違いは、下記の記事で詳しく解説しています。

超低用量ピル(LEP)

超低用量ピル(LEP)の写真
画像参照元:メデリピル

低用量エストロゲン・プロゲスチン配合剤
Low dose Estrogen Progestin combination:LEP

超低用量ピルは、エストロゲン20μg程度を含有したホルモン合成材です。

避妊を目的とした処方は認可されておらず、月経困難症や子宮内膜症などの治療薬として使用します。

超低用量ピルの避妊効果は低用量ピルとほぼ同等ですが、避妊を目的とした処方は認可されていません。

診療で月経困難症、子宮内膜症の治療が必要と診断された場合、保険が適用される可能性があります。

中用量ピル

中用量ピルの写真
画像参照元:メデリピル

月経移動ピル
Low dose Estrogen Progestin combination:LEP

中用量ピルはホルモンを取り入れるタイミングを調整し、生理予定日を別日に移動させる効果があるため、月経移動ピルと呼びます。

低用量ピルよりも多くのエストロゲン量を含む分、副作用の発生リスクが高いため、あくまでも特定の数日間だけに絞って服用します。

中用量ピルの服用期間中は生理が止まり、服用を止めると生理が訪れます。

生理移動以外では、性交渉後の緊急避妊薬としての効果もあります。

アフターピルによる緊急避妊法よりも価格が安い分、妊娠回避率は20%ほど下がります。

月経移動ピルの具体的な飲み方や休薬期間などの詳細は、こちらの記事を参考にしてください。

アフターピル

緊急避妊薬
Low dose Estrogen Progestin combination:LEP

アフターピルは避妊に失敗した緊急時にのみ、1錠だけ服用する緊急避妊薬です。

使用する薬の種類によって服用する用量とタイミングが異なり、基本的には性交渉に失敗した日から3日以内に服用することで、妊娠を阻止します。

プロゲステロンのみ含有された薬が多く、副作用が強いため吐き気止めをセットで処方するクリニックもあります。

普段から低用量ピルを服用している方でも、アフターピルを併用できます。

アフターピルは1錠あたり1万円程度と高額ですが、中絶に至る前に望まない妊娠を防げる救済措置として、女性の味方と言える優秀な薬です。

アフターピルの避妊成功率や価格などを解説した記事を読み、避妊の知識を理解しましょう。

ミニピル

ミニピルの写真
画像参照元:マーチクリニック

黄体ホルモン剤
Progestin-Only Pill:POP

ミニピルはプロゲステロンのみを含有したホルモン剤です。

低用量ピルの処方は喫煙者は35歳まで、非喫煙者は40歳までと制限があります。

低用量ピルを服用できない40歳以上の方のほか、BMI数値が30以上の方、授乳中の方、35歳以上の喫煙者などが服用可能です。

ミニピルは国内で未承認の薬が多く、基本的に医薬品副作用被害救済制度(※)の対象外のため、取り扱いクリニックは限られています。

医薬品副作用被害救済制度
医薬品の副作用によって健康被害を受けた方に対して、医療費や年金を国が支援する制度。
ピルは医療用医薬品に該当し、処方には医師の診療が必要です。

年齢制限や身体的リスクがない限りは、低用量ピルからの開始が基本となります。

生理痛や生理不順、PMSの改善目的でピルを服用したい場合は、必ずその旨をクリニックへ伝えましょう。

月経困難症や子宮内膜症の治療が必要と判断されると、保険適用となるケースもあります。

オンライン診療のクリニックやサービスは基本的に自由診療のため、避妊目的以外のピルでも保険が適用されません。

かなり重い症状を自覚している方は、ピルを選ぶ前に血液検査などの対面診察を受けることをおすすめします。

避妊目的のピルはオンライン診療で安全に入手できる

現在は婦人科へ足を運ぶことなくオンライン診療で、低用量ピルからアフターピルまで多くの種類のピルが処方可能となりました。

ピルのオンライン診療とは、スマートフォンやパソコンのオンライン環境で医師の診療・診察を受け、自宅へピルを郵送できる手軽な医療サービスです。

ただし、ピルは正しく使用しなければ子宮の環境や体調に影響を及ぼします。

単純に安くて購入しやすいピルを選ぶだけではなく、専門家の指示を踏まえて安全に服用しましょう。

ピルのオンライン診療サービス一覧の記事では、各クリニックやサービスの違いや価格をチェックできます。

ピルの効果と避妊できる仕組み

ピルの効果

ピルはパートナーとの性交渉に備えて女性側が服用し、2種類のホルモン量を調整することで、妊娠しない状態をつくりだす避妊方法です。

ピルを正しく服用した場合、避妊成功率は99.7%に及びます。

男性側が行うコンドームでの一般的な避妊率は85%のため、より確実性の高い避妊方法として利用されています。

生理痛緩和やPMS改善など避妊以外の効果

基本的にどの種類のピルにも避妊効果があり、効果に大きな差はありませんが、薬ごとに含有されるホルモンの量や種類が異なるため、飲み方や使用目的が異なります。

ピルは避妊効果以外にも、副次的な効果が多数あります。

ピルがもつ避妊以外の効果と作用
生理痛の緩和 子宮内膜の増加を防ぎ、子宮から剥がれ落ちる内膜の量が減り、生理時の痛みを緩和する。月経困難症の治療にもつながる。
生理不順の改善 日ごとにホルモン量を調整し、排卵日や生理日が整い、周期を安定させる。
PMS(月経前症候群)の改善 ホルモンバランスが安定し、生理前の腹痛やむくみ、倦怠感などの不快症状を緩和する。
ニキビや肌荒れの改善 皮脂分泌作用をもつ黄体ホルモンの量を安定させ、ニキビや肌荒れを改善する。
子宮内膜症の治療 排卵を抑制し子宮内膜の増殖を防ぎ、ダメージを軽減させる。
卵巣がん・子宮体がんの予防 排卵を抑制し卵巣へのダメージを軽減、また子宮内膜の増殖を防ぎ、がん細胞を予防する。

ピルの含有ホルモンによって排卵が抑制されることで、卵巣や子宮の活動が安定し、排卵や生理周期に関わっていた多くの不快な症状が軽減されます。

ピルの避妊効果はいつから出る?

ピルの避妊効果はいつから

ピルの飲み方には2通りあり、生理初日に飲み始めるタイプと、生理が始まった週の日曜日から飲み始めるタイプです。

各タイプによって避妊効果が出るタイミングが異なります。

Day1スタートピルの場合

服用を開始した当日から避妊効果があります。
ただし、数日間はコンドームの着用が望ましいです。

Sundayスタートピルの場合

服用を開始した日曜日から7日後に避妊効果を発揮します。
この期間まではコンドームを着用し、避妊を行いましょう。

どちらの開始日であっても、ピルを毎日忘れずに服用することで避妊効果を得られます。

高い避妊効果を得るためにもピルを正しく服用することと、コンドームでの避妊を徹底してください。

ピルで避妊効果を得られる3つの理由

ピルで避妊ができる仕組み

ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類の女性ホルモンを含有しています。

通常、生理周期の間にホルモンの分泌量は大きく変化し、その過程で生理や排卵が行われますが、同時に体には様々な影響を与えています。

これらのホルモンには、以下3つの避妊作用があります。

ピルで避妊ができる仕組み

  1. 排卵を抑制し妊娠しない状態へ変える
  2. 受精卵が着床しにくい状態にする
  3. 子宮入り口の粘液を変化させ精子を通りにくくさせる

1.排卵を抑制し妊娠しない状態へ変える

ピル服用による女性ホルモンの変化

女性の体は、正常な場合は25~38日間前後の周期で卵胞ホルモンと黄体ホルモンが交互に分泌され、排卵が行われます。

およそ毎月5~8日間程度は、妊娠しやすい時期(排卵期)が自然と訪れています。

妊娠をすると排卵は止まり「これ以上は妊娠しない状態」へと変化しますが、女性の体内と同じホルモンをピルで取り入れることで、すでにホルモンが十分に足りている状態だと脳へ判断させ、卵巣へのホルモン分泌を停止させます。

このように、妊娠した状態を擬似的につくりだして排卵を止めるのが、ピルによる避妊の仕組みです。

ピルを服用しても生理が止まることはありませんが、通常よりも量の少ない消退出血が起こります。

消退出血:妊娠をしなかった際に子宮内膜が剥がれ落ちることで起きる出血。
通常の月経よりも少量で、低用量ピルやアフターピル服用時に起きることがある。

2.受精卵が着床しにくい状態にする

排卵後の子宮内膜の変化

通常時は、精子と出会った卵子が受精卵となり子宮内膜へ着床、妊娠成立となります。

このとき子宮内膜は、受精卵が着床しやすいよう子宮の壁を厚くして受け入れる準備をします。

妊娠しなかった場合は子宮内膜の壁が自然に剥がれ落ち、生理へと切り替わります。

子宮内膜が剥がれる際には多くの方が痛みをともないますが、ピルによって子宮内膜が厚くならないため痛みが軽減され、経血量も減少させる効果があります。

3.子宮入り口の粘液を変化させ精子を通りにくくさせる

膣の奥には子宮の入り口である子宮頚管があり、粘り気のある頸管粘液(おりもの)が分泌され、細菌の侵入を防いでいます。

この頸管粘液は、排卵期になると精子が通りやすいよう粘り気が減り、量が増え水のようにサラサラとした状態になります。

ピルの服用後、頸管粘液は濃く粘り気のある状態に変化するため、精子が侵入しにくくなり妊娠の可能性を下げます。

この仕組みにより、カンジダなどの細菌病に感染していない限り、ピルの服用中におりものの量が減る傾向にあります。

元々女性の体にある卵胞ホルモンと黄体ホルモンの動態に合わせて、ピルでホルモン分泌量を調整し一定にキープすると、生理中の痛みや不快感などが減少していきます。

排卵を停止しても体に影響はない?

女性の体は、排卵をしなくても正常に活動することができます。

実は、排卵回数は少ない方が卵巣へのダメージは軽減され、卵巣がんを発症するリスクが低くなります。

ピルで妊娠した状態をつくり卵巣を休ませることが、卵巣がんの予防につながります。

同じ原理で、ピルが子宮内膜の増殖を抑えて子宮へのダメージを軽減させることで、子宮内膜症や子宮体がんの発症リスクが低下します。

女性の体は生涯において最大400回程度の排卵を行います。排卵時、卵巣の上皮は傷を負い修復を繰り返しますが、そのダメージが卵巣がんのリスクを上昇させてしまいます。
近年、卵巣がん患者は増え続けています。その背景には、妊娠の回数が多く排卵回数が少なかった昔よりも、近年の女性は出産回数が少なく、生涯における排卵回数が多いため卵巣へのダメージがより大きいことがわかっています。

ピルを飲むのを止めたら正常に妊娠できる?

ピルの服用を中止すると、およそ1~3ヶ月程度で排卵が再開し、再び妊娠できる状態となります。ただし頻繁に服用中止や開始を繰り返すのは、体への負担がともないます。

ピルの服用中止、服用再開のタイミングは必ず医師へ相談してください。

個人の体質や状況により異なりますが、長期間ピルを服用したあとに妊娠しづらくなる、または妊娠しやすくなる(不妊治療が必要になる)など、妊娠率の変化には影響しません。

ピルのメリットは妊娠の不安と毎月の苦痛を軽減できること

ピルは単に避妊目的だけではなく、常に入り乱れるホルモンバランスが安定し、生理痛や生理不順、PMSの苦痛が緩和されて生活の質が向上します。

さらに、知らない間にダメージが蓄積されている卵巣や子宮を休ませるメリットにもつながります。

ピルがもつ効果をうまく活用し、妊娠に対しての不安や生理の苦痛を取り除くことで、快適な1ヶ月を過ごせるようになります。

ピルの副作用と発症リスクが上がる病気とは

どんな薬でも副作用があるように、ピルにも様々な副作用が存在します。

ピルを飲み始めた直後から現れる副作用の内容と、発症リスクが上がる病気の種類を事前に理解しましょう。

ピルの服用で起きやすい副作用の症状

体がピルに慣れていないうちは副作用を感じやすく、吐き気や不正出血などの症状が発生します。

起きやすいピルの副作用

  • 吐き気
  • むくみ
  • 頭痛
  • 腹痛や下痢
  • 不正出血
  • 乳房の張り

ピルの副作用は誰しも必ず起こるわけではありませんが、ピルの主成分であるエストロゲンの含有量が多いほど副作用の発生確率は高くなります。

そのため、超低用量ピル<低用量ピル<中用量ピルの順に副作用が少ないと考えられています。

アフターピルも同様に副作用があり、なかには吐き気止めなどの追加薬剤を処方するクリニックもあります。

エストロゲンを含まないミニピルは副作用が少ない薬ですが、服用開始時には吐き気や頭痛、不正出血などが起きることもあります。

ピルの副作用の大半は「マイナートラブル」と呼ばれ、病気や疾患が原因ではないものの、ホルモンバランスの影響によって起こりやすい不快な症状です。

ピルを飲み続けてホルモンバランスが安定してくると、症状は次第に落ち着いていきます。

ピルの副作用はいつからいつまで続く?

ピルを飲み始めてすぐに副作用を感じる方もいれば、数日後に違和感を覚える方など個人差が大きいです。

ピルの副作用は1~2週間後に症状が落ち着きはじめ、3ヶ月後には副作用を感じなくなる方がほとんどです。

個人の体質によりますが、体に合ったピルであれば、副作用があっても日常生活に大きな影響は与えません。

ピルを飲むと太る?

ピルを飲み始めたら体重が増加したと感じる方はいますが、ピルと体重増加の因果関係は立証されていません

可能性としては、ピルの副作用で体がむくみやすくなり、プロゲステロンの働きによって空腹を感じやすくなり食事量が増えているケースです。

ホルモンバランスが安定していくと、次第にむくみや食欲は落ち着いていきます。

ピルを飲むと情緒不安定やうつになる?

ピルの影響で情緒不安定になる、うつ症状が現れる因果関係は立証されていません。

ですが、実際にピルを服用し始めた時期からイライラする、気分が落ち込みやすくなる、涙が出やすくなるという方もいます。

これらの気分変調は、ピルのホルモンバランスの調整によって引き起こされている可能性があり、体に慣れていけば症状は落ち着いていく方がほとんどです。

ピルが体に合うかはどう判断する?

ピルが体に合うかどうかは、服用してから3ヶ月時点が一つの判断基準となります。

3ヶ月を過ぎても初期と同じように不快な症状が強い場合は、薬の変更を医師へ相談してください。

エストロゲン量を抑えた薬へ変更する、休薬期間を設けるなどの対処が可能です。

もしも日常生活が困難なほど体調が悪化した場合は、服用期間に関わらず早急に医師へ相談しましょう。

不快感はあまり我慢せずにピルの変更を

ピルの副作用でも、初期に起こりやすい症状であれば大きな不安を抱えることはありません。

どの種類のピルでも避妊効果に大きな違いはないため、副作用が強いと感じた場合は我慢せずに薬を変更しましょう。

ピルは妊娠の不安や生理の不快感を取り除き、生活の質を向上させるための薬なので、ストレスをためすぎないことが先決です。

ピルの購入先は、副作用や薬の相談がしやすいクリニックを選んでおくと安心です。

ピルの服用で変化する病気のリスク

ピルは月経困難症や子宮内膜症の改善にくわえ、卵巣がんや子宮体がんの発生リスクが低下します。

その反対に、血栓症や乳がん、子宮頸がんの発症リスクが上昇します。

ピルの服用によって発症リスクが低下する病気と、発生リスクが上昇する病気を理解しておきましょう。

発症リスクが低下する病気 ピルの服用で発症リスクが上がる病気
  • 月経困難症
  • 子宮内膜症
  • 卵巣がん
  • 子宮体がん
  • 血栓症
  • 乳がん(※国内の研究データはなし)
  • 子宮頸がん(※長期間の服用の場合)

血栓症の発生リスクが上がる理由とその確率

血栓症とは、血液のなかに血栓(血のかたまり)ができることで血管が詰まる病気です。

血栓ができる血管の位置によって疾患名が変わりますが、ピルの服用では主に静脈血栓症、血栓性脳梗塞などに注意が必要です。

ピルの主成分であるエストロゲンが、血を固める性質があるために、血栓症の要因の一つとなります。

全員が血栓症になるわけではありませんが、ピルを服用している場合は1万人中3~9人の確率で発症したデータがあります。

ピルを服用していない場合は年間で1万人に1~5人のため、ピルの服用によって血栓症の発生確率は約3~5倍になります。
しかし、妊娠中の方の血栓症発生確率は1万人に5~20人、出産後すぐの方は1万人に40~65人と、ピル服用者に限らず血栓症のリスクは存在します。
血栓症のリスクはピル服用者以外にもある

元から血栓症発生のリスクが高い方には、脳梗塞や脳卒中、心筋梗塞の発症リスクがともなうためピルの処方ができません。

医師は診察時に、ピルが服用できる対象者かどうかを慎重に問診します。

ピルを服用できない方

  • 40歳以上の方
  • 35歳以上の喫煙者(1日15本以上)
  • 肥満の方(BMI数値が30以上)
  • 片頭痛がある方
  • 妊娠中の方
  • 半年以内に出産した方
  • 持病がある(高血圧、糖尿病、心疾患、肝機能障害、乳腺疾患など)

ピルで血栓症のリスクは確かに上がりますが、健康的な生活をできる方であればそこまで不安に思う必要はありません。

日常生活において長時間同じ姿勢でいることが多い方や筋力が衰えているという方は、血管が詰まりやすくなる傾向にあります。

ピルの服用に関わらず、血の巡りに気をつけて生活をする意識が大切です。

ピルを飲むと乳がんになる?

乳がんとは乳腺に生じるがん(悪性腫瘍)です。

日本の研究では、ピルの服用で乳がんを発症するという医学的な根拠は裏付けられていません。

しかしアメリカの学会誌では、ピルの長期的な服用でわずかに乳がんの発症リスクが上がったという研究結果が出ています(※)

乳がんは遺伝や動物性脂肪の多い食生活、アルコールの多量摂取、肥満などの要因もあり、裏付けが難しいところですが、可能性がまったくないとも言い切れないのが現状です。

現在のクリニックでは、すでに乳がんが見つかっている方や、乳がんの治療から5年経過していない方にピルを処方することはできません。

リスクを心配しすぎる必要はありませんが、ピルの服用を機に定期的な乳がん検診を行い、発病防止の意識を高めることがおすすめです。

子宮頸がんのリスクはピルで上がる?

子宮頸がんとは、子宮の出口にある管状の部分に生じるがんです。

ピルを5年以上服用すると、子宮頸がんのリスクがわずかに上昇します。

子宮頸がんのほとんどは、性交渉によって感染するヒトパピローマウイルス(HPV)が要因です。

HPVはコンドームだけでは予防しきれず、性交渉の経験がある女性の50%が、人生に一度は感染する(※)と言われています。

最近の研究結果では、ピルの服用によって新たに子宮頸がんになるよりも、すでにHPVに感染した状態で、ピルの作用によってウイルスの排除率が低下し、子宮頸がんに発展している可能性が示唆されています。

子宮頸がんの発症元は、性交渉によるウイルスの感染が大半です。

HPVは男女関係なく感染するため、性交渉の経験があれば、誰でもHPVに感染している可能性があります。

ピルの服用を控えるよりも、ピルを活用しながら子宮頸がんの定期検診を行い、HPVワクチンを接種し、発症リスクを今よりも高めていくことがおすすめです。

ピルの効果で妊娠の不安と生理の苦痛を取り除く

ピルは避妊効果だけでなく、生理痛やPMS、将来の病気のリスク低下と、女性にとって多くのメリットがある薬です。

ピルのメリット ピルのデメリット
  • 高い避妊効果がある
  • 生理痛やPMSの苦痛が和らぐ
  • 一部のがんを予防する
  • 服用初期には副作用がある
  • 血栓症のリスクがわずかに上がる

ピルには副作用も存在しますが、ほとんどの方が初期段階で落ち着いていく点と、将来の病気のリスク低下につながる点から、総合的にメリットのほうが大きい薬です。

現在こんな悩みを日常的に抱えている方は、ピルの活用がおすすめです。

今は避妊を希望しているけれど、避妊方法に不安がある

・コンドームによる避妊に自信がない方
・膣外射精で性交渉をしている方 など

生理の時期が近づくたびに憂鬱になっている

・生理痛や出血過多、PMSの症状が辛い方
・生理がいつくるかわからず困っている方 など

ピルを服用すると、性交渉のたびに妊娠の不安になる状態から開放され、毎月の生理の辛さも徐々に和らいでいきます。

ピルの正しい知識を知って生活の質を向上させよう

ピルの種類が体に合うかどうかを知るためにも、医師による診療を受けたうえで購入し、正しく服用していきましょう。

これまでピルを服用したことがない方は、服用期間中に副作用や飲み方などの疑問が出てくることもあるはずです。

チャットや電話、オンライン環境などで気軽に医師へ相談できるサービスをうまく活用していきましょう。